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コラム

SNS・スマホは若者のこころに何をしているのか——最新研究から

SNS・スマホは若者のこころに何をしているのか——最新研究から|六本松こころのクリニック
SNS・スマホ|最新トピックス

SNS・スマホは
若者のこころに
何をしているのか
——最新研究から

143研究・約110万人のデータが示すこと

🔬 2024〜2025年 最新論文に基づく
ここちゃん
記事監修
前田 輝 院長精神保健指定医・精神科専門医
「うちの子、スマホばかりで心配…」「自分もSNSをやめられない」——そんなお声を、診察室でもよく聞きます。

SNSとこころの健康の関係は、長らく「証拠が不十分」と言われてきました。ところが2024〜2025年にかけて、大規模な縦断研究やメタ解析の結果が相次いで発表され、その関係はより明確になってきています。この記事では、最新のエビデンスをわかりやすく解説します。

若者のSNS使用——今どれくらい?

95%

米国の青少年(13〜17歳)がSNSを利用
Pew Research Center, 2023

3.5時間/日

10代のスマホ利用時間の平均(日本・内閣府, 2023)

思春期は脳の社会的回路(側坐核・扁桃体・前頭前野)が急速に発達する時期です。「仲間からどう見られるか」への感受性が最も高まる時期でもあり、SNS上での「いいね」や比較が脳の報酬系に強く働きかけます。

最新の臨床研究エビデンス

① 143研究・約110万人のメタ解析(JAMA Pediatrics, 2024)高エビデンス

ケンブリッジ大学のFassiらは、SNS使用と内面化症状(うつ・不安)の関連を調べた143の研究(計1,094,890名)を統合解析。SNS使用時間・エンゲージメントいずれも、うつ・不安症状と有意な正の相関を示しました。

📊 ① SNS使用と内面化症状の相関(メタ相関係数 r)
0 r=0.10 r=0.20 r = 0.08* 臨床群・使用時間 r = 0.12** 臨床群・エンゲージメント コミュニティ群 r=0.14 *p=.03 **p=.002
出典:Fassi L, et al. Social Media Use and Internalizing Symptoms in Clinical and Community Adolescent Samples. JAMA Pediatrics. 2024;178(8):814-822. 143研究・1,094,890名・886効果量。r = メタ相関係数(絶対値が大きいほど関連が強い)。
エビデンスの読み方:相関係数r=0.08〜0.14は「小さい」効果量ですが、約110万人という巨大サンプルでの有意な関連です。また「相関」であり因果関係を直接証明するものではありません。ただし、こうした小さな関連が人口レベルで積み重なることには注意が必要です。

② 11,876名・3年間縦断研究(JAMA Network Open, 2025)高エビデンス

UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)のNagataらは、米国最大の青少年脳発達研究(ABCDスタディ)のデータを使い、9〜12歳の11,876名を3年間追跡。SNS使用量とうつ症状の「どちらが先か」を、個人内変化で分析しました。

📊 ② SNS使用とうつ症状——どちらが先か?(11,876名・3年間縦断)
SNS使用の増加 (1年間) 翌年うつ↑(有意) うつ症状 (翌年) 逆方向は有意でなし → SNS増加がうつを”先導”している可能性
出典:Nagata JM, et al. Social Media Use and Depressive Symptoms During Early Adolescence. JAMA Netw Open. 2025;8(5):e2511704. 個人内変化を追跡するランダム切片交差遅延パネルモデルを使用。性別・人種・世帯収入・親の学歴・逆境的小児体験等を統制。

🔑 この研究が重要な理由

これまでの研究の多くは横断研究(ある時点のスナップショット)で、「SNSで落ち込むのか、落ち込むからSNSを見るのか」が不明でした。この縦断研究では個人内の変化を3年間追うことで、SNS使用の増加がうつ症状の悪化に”先立つ”パターンを確認。逆方向(うつ→SNS使用増加)は有意でありませんでした。

なぜSNSがこころに影響するのか

📊 ③ SNSがこころに影響する主な4つのメカニズム
SNS 使用 😴 睡眠の妨害 夜間の通知・ブルーライト → 睡眠不足・睡眠の質低下 👥 上方社会比較 他者の”映え”と 自分を比べてしまう 📱 注意の断片化 通知・スクロールで 集中力・自己調整が低下 💬 サイバーいじめ ネット上のいじめ・排除 → 自殺念慮リスク2.6倍↑
睡眠障害・上方社会比較・注意分散・サイバーいじめの4経路はHaidt J, The Anxious Generation (2024) およびNagata JM et al. Lancet Reg Health Am, 2023をもとに整理。

特に注意が必要なのは「女子」「思春期前期」

👧 女子に強い影響

容姿・ボディイメージへの比較がInstagram等で起きやすく、摂食障害・うつ病との関連が男子より強い傾向が複数の研究で確認されています。

🧒 思春期前期が特にリスク

Nagataら(2025)の対象は9〜12歳。脳の発達・感受性が最も高い時期のSNS使用が、こころへの影響が大きい可能性があります。

重要:SNSに「良い面」もあります
研究は「リスク」を示しますが、SNSには仲間とのつながり・孤立しがちな若者のサポートコミュニティ・情報へのアクセスなど肯定的な側面もあります。「全面禁止」より「使い方の質と時間を意識する」アプローチが現実的です。

家庭・本人でできること

✅ 科学的根拠のある対策

  • 就寝1時間前のスマホオフ(睡眠障害経路への対策)
  • 寝室にスマホを持ち込まない(睡眠の質を守る)
  • 1日のスクリーンタイム上限を家族で決める
  • 「受動的スクロール」より「能動的なやりとり」を意識する
  • SNS以外のリアルな人間関係・趣味の時間を確保する
  • 子どもが見ているコンテンツについて批判的でなく対話する
※ 2023年の米国小児科学会(AAP)はSNS使用に関して、禁止より「質の高い対話と家庭のルール作り」を推奨しています。
ここちゃん
「子どもがSNSで落ち込んでいるようで心配」「自分自身もSNSをやめられない」——そういったご相談も、当院では受け付けています。

スマホ・SNSの使用パターンを一緒に振り返り、こころの状態と結びつけて考えることが、回復への重要な一歩になることがあります。お気軽にお話しください。
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よくあるご質問

「相関」があるだけで、SNSがうつの「原因」とは言えないのでは?
おっしゃる通り、相関と因果は別物です。ただしNagata(2025)の縦断研究では個人内変化を追うことで「先後関係」を確認しており、「SNS増加→うつ悪化」の方向性が示されています。完全な因果証明には今後の研究が必要ですが、「無視できない関連」として臨床的に注意する根拠は十分あります。
子どものSNSを完全に禁止すべきですか?
現時点の研究では、全面禁止より「適切なルールと対話」が推奨されています。SNSには孤立した子どものサポートコミュニティとしての機能もあり、禁止が逆効果になるケースも報告されています。使用時間・時間帯・内容について家族で話し合うことが大切です。
何歳からSNSを使わせてもいいですか?
米国小児科学会(2023)は13歳未満のSNS使用を推奨しないとしています。ただし「使わせない」より「一緒に使い方を考える」アプローチが現実的です。当院ではお子さんの年齢・発達段階に合わせた個別のアドバイスができます。

こころの変化が気になったら

「SNSをやめようとしてもやめられない」
「子どもの様子がSNSを始めてから変わった」
そんなお悩みもご相談ください。
平日朝7時〜診療。WEB予約24時間受付中。

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【主要参考文献】

  1. Fassi L, Thomas K, Parry DA, Leyland-Craggs A, Ford TJ, Orben A. Social Media Use and Internalizing Symptoms in Clinical and Community Adolescent Samples: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA Pediatrics. 2024;178(8):814-822. doi:10.1001/jamapediatrics.2024.2078
  2. Nagata JM, Otmar CD, Shim J, et al. Social Media Use and Depressive Symptoms During Early Adolescence. JAMA Netw Open. 2025;8(5):e2511704. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.11704
  3. Haidt J. The Anxious Generation: How the Great Rewiring of Childhood Is Causing an Epidemic of Mental Illness. Penguin Press; 2024.
  4. US Surgeon General Advisory. Social Media and Youth Mental Health. US Department of Health and Human Services; 2023.
  5. Nagata JM, et al. Cyberbullying and early adolescent health outcomes. Lancet Reg Health Am. 2023.
⚠️ 本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。個別の診断・治療については必ず医師にご相談ください。
六本松こころのクリニック 六本松こころのクリニック
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