六本松こころのクリニックCOCORO NO CLINIC
女性のメンタルヘルス
月経前になると
別人のように気分が変わる——
PMS・PMDDのことを知ってほしい
「生理前だから仕方ない」と我慢していませんか? 治療で改善できます。
🌸 女性に多いこころの不調
記事監修
前田 輝 院長精神保健指定医・精神科専門医
PMSとPMDDの違い
月経前症候群(PMS)
月経前3〜10日間に、身体的・精神的な不快症状が出現し、月経の開始とともに軽快・消失する状態。生殖年齢女性の70〜90%が何らかの症状を経験し、中等症以上は約5%とされています。
月経前不快気分障害(PMDD)
PMSの重症型で、精神症状(強い抑うつ・怒り・絶望感)が中心となり日常生活・社会生活に著しく支障をきたす状態。DSM-5でうつ病と並ぶ正式な診断名として認められています。有病率は約1〜6%。
共通する特徴:月経が始まると症状が消える・2周期以上にわたって繰り返す・排卵後(黄体期)に出現する——これらが診断の鍵になります。
こんな症状、心当たりはありますか?
🧠 精神・気分症状
✓強い抑うつ気分・絶望感
✓突然涙が出る・感情の爆発
✓強いイライラ・怒りっぽさ
✓不安・緊張が高まる
✓集中力の低下・物忘れ
✓「死にたい」「消えたい」という気持ち
🏥 身体症状
✓乳房の張り・痛み
✓頭痛・腹痛・むくみ
✓食欲の変化(過食・食欲低下)
✓睡眠障害(不眠・過眠)
✓倦怠感・無気力
✓腹部膨満感
なぜ起こるのか——原因
ホルモンと脳の神経伝達物質の不均衡
排卵後の黄体期に起こるプロゲステロンの変動が、脳内のセロトニンやGABAの働きを乱すことで症状が生じると考えられています。特にPMDDでは、プロゲステロンの代謝産物(アロプレグナノロン)へのGABA受容体の感受性異常が関与しているとされています。遺伝的要因や心理社会的ストレスも発症に影響します。
治療——「我慢」は正解ではない
💊 SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)— 精神症状に最も効果的
PMDDに対してFDA承認を持つ唯一の薬剤カテゴリーです。セルトラリン・パロキセチン・エスシタロプラム等が使用されます。うつ病治療と異なり、黄体期のみの間欠投与でも効果があり、1〜3日以内に症状改善を感じる方も多いのが特徴です。約80%の方に効果があるとされています。
その他の治療選択肢
- 低用量ピル・LEP(身体症状に有効。排卵を抑制)
- 漢方薬(加味逍遥散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸)
- 利尿薬(むくみへの対症療法)
- 認知行動療法(CBT)(思考・行動パターンの改善)
- 生活習慣の改善(適度な運動・カフェイン・アルコール制限)
精神症状が強い場合は心療内科・精神科へ:婦人科でピルや漢方薬を試しても精神症状が改善しない方、「死にたい」気持ちがある方は、心療内科・精神科でSSRIを中心とした治療を検討してください。
Q「毎月死にたくなる」のは本当にPMDDですか?
PMDDの症状の一つに「死にたい・消えたい」という希死念慮が含まれます。これが月経前だけに出現し、月経開始後に消えるパターンであればPMDDの可能性があります。ただし、うつ病や双極性障害との鑑別が必要なため、専門医への受診をお勧めします。症状が強い時は一人で抱え込まず、早めにご相談ください。
Q婦人科と心療内科、どちらに行けばいいですか?
身体症状(腹痛・乳房痛・むくみ)が中心の場合は婦人科、精神症状(強い抑うつ・怒り・希死念慮)が中心の場合は心療内科・精神科が適しています。両方に症状がある方は、両科を並行してかかることも選択肢の一つです。当院では精神症状が強いPMSおよびPMDDの診察を行っています。
「毎月つらい」を放置しないでください。
PMS・PMDDは治療で改善できます。
「これが自分の普通」と思い込まず、一度ご相談ください。
平日朝7時〜診療。WEB予約24時間受付中。
⚠️ 本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。個別の診断・治療については必ず医師にご相談ください。
【主要参考文献】日本産科婦人科学会女性ヘルスケア委員会「PMS・PMDDに対する診断・治療指針」2023-2024年度 / DSM-5 / 近畿大学「PMS・PMDDの診断・治療の実態」J Obstet Gynecol 2023
【主要参考文献】日本産科婦人科学会女性ヘルスケア委員会「PMS・PMDDに対する診断・治療指針」2023-2024年度 / DSM-5 / 近畿大学「PMS・PMDDの診断・治療の実態」J Obstet Gynecol 2023
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