24時間
受付中

来院予約

こちら

コラム

女性のADHDは見逃されている?最新研究が示す長期健康リスクと早期発見の重要性

女性のADHDは見逃されている?最新研究が示す長期健康リスクと早期発見の重要性|六本松こころのクリニック
六本松こころのクリニック ロゴ
ROPPONMATSU KOKORO CLINIC 六本松こころのクリニック
TOPICS
最新トピックス

見逃されてきた女性のADHD
最新研究が示す
長期健康リスクと早期発見の重要性

― Nature Mental Health 2026年5月発表・グラスゴー大学12万人超研究 ―

監修:前田 輝(精神保健指定医・日本専門医機構認定 精神科専門医)
公開日:2026年5月 / カテゴリ:最新トピックス
「自分はずっと“だらしない”“ぼーっとしている”と言われてきた」「30代になってから、自分はADHDかもしれないと気づいた」──成人女性のADHD当事者の声です。
2026年5月、英国グラスゴー大学から、女性のADHDが見逃されてきたことの「長期的な代償」を12万人超のデータで実証する重要な研究が Nature Mental Health 誌に掲載されました。本記事では、女性のADHDが見逃されやすい理由と、最新研究が示す健康リスク、そして「もしかして私も?」と思った時にできることを精神科専門医が解説します。

女性のADHDは、なぜ見逃されるのか

ADHD(注意欠如・多動症)は、子どもの頃から「動き回る男の子」のイメージで語られてきました。実際、小児期にADHDと診断される率は男児の方が女児より2〜4倍高いとされています。

しかし近年、女性のADHDは「見えていなかっただけ」であることが明らかになってきました。理由は主に3つあります。

① 「不注意優勢型」が多く、目立ちにくい

ADHDには大きく分けて「多動・衝動型」「不注意優勢型」「混合型」がありますが、女性は不注意優勢型が多い傾向があります。教室で動き回るのではなく、ぼんやりして指示が頭に入らない、忘れ物が多い、課題の締切に間に合わない──こうした症状は、「ちょっとぼーっとした子」として見過ごされがちです。

② 「過剰適応」で症状を隠してしまう

女性は社会的な期待から、「きちんとしなければ」「迷惑をかけてはいけない」と過剰に努力することが多く、表面的には症状が見えにくくなります。ただし内面では膨大なエネルギーを消耗しており、夜になると疲れ果てて何もできない、月経前に症状が爆発する、といった形で現れることがあります。

③ 不安症・抑うつ症状で「上書き」される

努力で何とか取り繕ううちに、自己肯定感が下がり、不安症やうつ病を併発するケースが多くみられます。医療機関を受診しても、「うつ病」「不安障害」と診断されるだけでADHDの背景は見落とされる──このパターンが繰り返されてきました。

こんなサインに心当たりはありませんか?
  • 会議や授業の内容が頭に入ってこず、後で資料を読み直すことが多い
  • 締切ギリギリにならないと手をつけられない
  • 「あれもこれも」と頭の中が常にざわついている
  • 物をよくなくす(財布・鍵・スマホ・書類)
  • 会話中に話が飛んでしまい、相手に「で、何の話?」と言われる
  • 月経前に集中力・気分が大きく崩れる
  • 「がんばっているのに評価されない」が口癖になっている

2026年5月発表──女性ADHDの長期健康リスクを実証

2026年5月、英国グラスゴー大学のNaomi Wilson博士らの研究チームが、Nature Mental Health 誌に重要な論文を発表しました1)子ども時代にADHDと診断された女性が、成人後にどのような健康問題を抱えやすいかを、12万人超の女性データで長期追跡した縦断的コホート研究です。

研究デザイン縦断的コホート研究(Glasgow大学)
対象者18〜32歳の女性 120,000人超
調査内容子ども時代のADHD診断歴と、成人後の多疾患併存(マルチモビディティ)
多疾患併存の定義2つ以上の長期的健康状態(身体疾患・精神疾患を含む)
解析手法潜在クラス分析(latent class analysis)で多疾患パターンを分類

研究で明らかになった3つの事実

  1. 子ども時代にADHDと診断された女性は、成人後に多疾患併存となるリスクが有意に高い
  2. ADHDと社会経済的不利(貧困・低学歴・失業など)はそれぞれ単独でもリスクを上げるが、両方が重なると相乗的(synergistically)に大きくなる
  3. 女性の多疾患併存の負担のうち、39%がADHDと社会経済的不利の相互作用に起因
120,000+
解析対象となった
18-32歳の女性
39%
が相互作用に起因
多疾患併存の負担のうち
ADHD×剥奪の交互作用
2倍超
のリスク
ADHD+剥奪が重なる女性
(ADHDなしと比較)

「pan-system multimorbidity」── 最も深刻なパターン

研究チームは、女性の多疾患併存に独特のパターンがあることを発見しました。最も深刻な「pan-system multimorbidity(全身性多疾患併存)」と呼ばれるパターンでは、以下のような複雑な合併が見られました1) 2)

  • 多数の身体疾患(消化器・呼吸器・代謝など)
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの複雑な精神疾患
  • 境界性パーソナリティ障害
  • 慢性疼痛・睡眠障害

一方、ADHDのない女性では、多疾患併存があっても身体疾患に限定されるパターンが多く、精神疾患の複雑な合併は少ないことが対比的に示されました。

著者からのメッセージ(原文)

“ADHD in females has been historically underrecognized, underdiagnosed, and undertreated”
(女性のADHDは、歴史的に十分に認識されず、診断も治療も不足してきた)
そのため「長期的な健康への影響が、臨床現場でも研究でも見落とされてきた」と著者らは指摘しています1)

なぜ「早期発見・介入」が重要か

この研究の最も重要なメッセージは、「ADHD自体が直接、身体疾患を引き起こすわけではない」けれども、ADHDがもたらす二次的な影響──不規則な生活、慢性的なストレス、対人関係の困難、自己評価の低下、不安症やうつの併発──が長年積み重なって、身体・精神両面の健康を蝕んでいく、ということです。

言い換えれば、早めに「自分はADHDの特性があるかもしれない」と気づき、自分に合った対処法と支援を得られれば、長期的な健康リスクを大きく減らせる可能性があるということです。

成人期にADHDに気づくと、何が変わるのか

  • 自分の特性が「努力不足」ではなく、神経発達の特性によるものだと理解できる──これだけで自己肯定感が大きく回復します
  • 環境調整(タスク管理ツール・スケジューリング・刺激の少ない環境作りなど)で大幅に困りごとが減ります
  • 必要に応じて薬物療法(コンサータ・ストラテラ・インチュニブ・ビバンセ等)を検討できます
  • 併発しているうつ病・不安症・適応障害も、ADHDの背景理解とともに治療方針が変わります
⚠️ 自己判断の限界について

インターネットのセルフチェックで「ADHDかも」と感じても、それだけでは確定できません。ADHDの症状は、うつ病、双極性障害、不安症、自閉スペクトラム症、PTSD、甲状腺機能異常など、多くの他の疾患でも見られます。

正確な診断のためには、幼少期からの経過を含めた詳しい問診と、各種スクリーニング検査が必要です。自己判断で市販のサプリメントや海外の薬を取り寄せるといった行動は危険ですので、必ず精神科専門医にご相談ください。

💡 この記事のまとめ
  1. 女性のADHDは「不注意優勢型が多い」「過剰適応で隠れる」「うつ・不安に上書きされる」の3つの理由で見逃されやすい
  2. 2026年5月発表のグラスゴー大学研究で、子ども時代のADHD診断歴のある女性は成人後の多疾患併存リスクが有意に高く、社会経済的不利と重なると相乗的に増加することが12万人超のデータで実証された
  3. 成人後に気づいても遅くはない──むしろ早めの理解と支援が長期的な健康を守る
ここちゃんからのメッセージ

「もしかして私も?」と思ったら、ひとりで抱え込まないで

ずっと「なんで自分はちゃんとできないんだろう」って自分を責めてきた女性が、本当に多いんだよ。それはあなたの努力不足ではなく、もしかしたら脳の特性かもしれないの。

気づくことは、決して「ラベル貼り」じゃないよ。自分を理解する第一歩なの。気になったら、まずは話を聞いてもらうところから始めてみてね。

当院でのご相談について

「自分はADHDかもしれない」「子どもの頃から生きづらさを抱えてきた」「うつや不安で治療しているけれど、根本的に変わらない気がする」──こうしたお悩みをお持ちの方は、ぜひ当院にご相談ください。

当院は福岡市中央区六本松にて、働く方・学ぶ方のための心療内科・精神科を運営しております。成人期ADHDの診断・治療経験のある精神科専門医が、丁寧な問診と必要に応じた検査を通じて、あなたに合った対処法を一緒に考えます。平日朝7時からの早朝診療にも対応しており、出勤前・通学前のご受診が可能です。完全防音個室・WEB予約・WEB問診を導入しており、プライバシーに配慮した環境で安心してご相談いただけます。

成人女性のADHD・生きづらさのご相談

WEB予約・WEB問診は24時間受付中です
平日朝7時からの早朝診療にも対応しております

📚 出典・参考文献

  1. Wilson N, O’Hare K, Minnis H, Fleming M, Kelleher I, Gajwani R. Intersecting trajectories of childhood ADHD, socioeconomic deprivation and distinct multimorbidity patterns in women. Nature Mental Health. 2026 (Early Online Publication). doi:10.1038/s44220-026-00653-1
  2. University of Glasgow Press Release. “Girls with ADHD from deprived backgrounds face higher risk of multimorbidity.” 2026年5月25日.
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット「ADHD(注意欠如・多動症)」
  4. 日本精神神経学会「成人期注意欠如・多動症診療ガイドライン 第2版」2022年
  5. American Psychiatric Association. DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル(2022年)
〒810-0045 福岡市中央区草香江2-1-5 AG六本松4F
地下鉄七隈線 六本松駅 徒歩2分 / TEL: 092-401-4556
院長:前田 輝(精神保健指定医・精神科専門医)
https://ropponmatsukokoro.com/

関連記事

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

ページ上部へ戻る
092-401-4556